参、謀攻篇 2 上兵は謀を伐つ

 故に上兵は謀を伐つ。その次は交を伐つ。その次は兵を伐つ。その下は城を攻む。城を攻むるの法は、やむを得ざるがためなり。櫓、轒轀を修め、器械を具う。三月にして後に成る。距闉また三月にして後にやむ。将その忿りにたえずして、これに蟻附せしめ、士を殺すこと三分の一にして、城抜けざるは、これ攻の災いなり。


 したがって最高の戦い方は、事前に敵の意図を見破ってこれを封じることである。これに次ぐのは、敵の同盟関係を分断して孤立させること。第三が戦火を交えること。そして最低の策は、城攻めに訴えることである。城攻めというのは、やむなく用いる最後の手段にすぎない。

 城攻めを行なおうとすれば、大盾や装甲車など攻城兵器の準備に三ヶ月はかかる。土塁を築くにも、さらに三ヶ月を必要とする。そのうえ、血気はやる将軍が、兵士をアリのように城壁にとりつかせて城攻めを強行すれば、どうなるか。兵力の三分の一を失ったとしても、落とすことはできまい。城攻めは、これほどの犠牲をしいられるのである。


【仕事・職場で】

 相手の意図を見破るにしても、相手集団の分断をはかるにしても、必要なのは情報である。相手の能力と目的、相手集団の人間関係や力配分などが分かれば、直接争わなくても済む方法を検討し、実行することができる。

 情報不足で事前に手を回せないのなら、直接争うことになる。

 避けなければならないのは、相手が最も大切にしている領域に踏み込んでまで争うことである。

 相手の思想・信条や家庭、権利などを揺るがす争いになれば、相手は十二分の力で対抗することは明らかであり、自分の費やすエネルギーは計り知れず、場合によっては争った結果が敗北になる可能性が高くなる。


★相手が争う理由をなくすことができれば、そもそも争わなくて済む。

★争点を消すことができないのなら、なぜ相手は要求に応じないのかを探る。忙しいと言うなら、計画の立て方を教えれば良い。作業で手一杯と言うなら、作業フローを一緒に見直してあげれば良い。争わず、協力することで解決できることはたくさんある。

★それでも争うことになれば、自分を冷静に保ち、相手の絶対領域へ踏み込まないように注意すること。


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