激水の疾くして石を漂わすに至るは、勢なり。鷙鳥の撃ちて毀折に至るは、節なり。この故に善く戦う者は、その勢は険にして、その節は短なり。勢は弩を彍るがごとく、節は機を発するがごとし。
せきとめられた水が激しい流れとなって岩を押し流すのは、流れに勢いがあるからである。猛禽がねらった獲物を一撃のもとにうち砕くのは、一瞬の瞬発力をもっているからである。
それと同じように、激しい勢いに乗じ、一瞬の瞬発力を発揮するのが戦上手の戦い方だ。弓にたとえれば、引きしぼっと弓の弾力が「勢い」であり、放たれた瞬間の矢の速力が「瞬発力」である。
【仕事・職場で】
完全に自分に流れが勢いづいていると感じているなら、そこであれこれ思案しているうちにその勢いに乗り遅れてしまうことがないようにしたい。
業務でも争いでも、それらは生き物であり、変化し続けるものである。事前の分析や検討が大切なのは確かだが、事が起こったなら計算外の勢いが発生するときがある。その勢いが自分のものであるなら、その流れにうまく乗るセンスは重要である。
逆に、争っていて相手が勢いづいたときは要注意である。相手の整合性はともかくも、たたみかけてくるであろう前提で、相手の勢いが止まるまでガッチリ守りに入ることが無難である。
★冷静に計画的に事を運びつつも、勢いが自分に来たと思ったなら、その流れに乗るべきである。天の時を得た状態である。
★相手が勢いに乗る場合には、守りに徹すること。勢いは理屈だけでは説明しきれないエネルギーに満ちているからである。
★作業をすすめる心身が軽く感じることがある。集中力が高まり、かつ、疲れに達していないときである。それは作業の勢いに乗っている状態であるから、ミスには注意しつつ、思い切り作業を進めよう。
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