参、謀攻篇 1 百戦百勝は、善の善なるものにあらず

 孫子曰く、およそ兵を用うるの法は、国を全うするを上となし、国を破るはこれに次ぐ。軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ。この故に、百戦百勝は善の善なるものにあらず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。


 戦争のしかたというのは、敵国を傷めつけないで降服させるのが上策である。撃破して降服させるのは次善の策にすぎない。また、敵の軍団にしても、傷めつけないで降服させるのが上策であって、撃破して降服させるのは次善の策だ。大隊、中隊、小隊についても、同様である。

 したがって、百回戦って百回勝ったとしても、最善の策とはいえない。戦わないで敵を降服させることこそが、最善の策なのである。


【仕事・職場で】

 争って勝つというのは、最後の手段である。最善なのは、争わずして自分の要求を満たすことである。職場でしょっちゅう争いを起こしていては、仕事はやりにくくなるし、自分の評判も悪くなる。

 だから人と争う前に、その人がそうせざるを得ない状況を作り出すことが最善である。


★根回しや、根拠の有無にかかわらず噂話をするのは、直接争わずに相手をやり込める昔ながらの手法。いまだにこれが横行するのは、効き目が大きいからである。

★根回しや噂話に対抗するには、どれだけ情報を集められるかにかかっている。普段から観察力・洞察力を研ぎ澄ませ、視聴覚のアンテナを張ることが大切。ただ、それをし続けるのは神経がまいってしまうので、オンオフの使い分けに慣れること。

★論破することが目的ではない。自分の要求を満たすことが目的だということを忘れてはならない。


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