参、謀攻篇 3 戦わずして勝つ

 故に善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うにあらざるなり。人の城を抜くも、攻むるにあらざるなり。人の国をやぶるも、久しきにあらざるなり。必ず全きをもって天下に争う。故に兵やぶれずして、利全かるべし。これ謀攻の法なり。


 したがって、戦争指導にすぐれた将軍は、武力に訴えることなく敵軍を降服させ、城攻めをかけることなく敵城をおとしいれ、長期戦にもちこむことなく敵国を滅すのである。すなわち、相手を傷めつけず、無傷のまま味方にひきいれて、天下に覇をとなえる。かくてこそ、兵力を温存したまま、完全な勝利を収めることができるのだ。

 これが、知謀にもとづく戦い方である。


【仕事・職場で】

 まず、何事においても「何が目的か」「どこがゴールか」を明確にすべきである。

 それが明確になれば、仕事においては無駄を省いて、不足を補い、作業フローを組み立てることができる。

 人と争いが生じそうになっても、目的が明確になっていれば、目的達成に向かって行動すれば良いことに気付く。目的を達成するためには、必ずしも人と争わなくても良いわけである。

 特に、急激に事が起こると頭に血が上り、相手に目が向きがちになるものだが、冷静にその状況における達成目的を見極めたい。そうすれば、相手に争いではなく提案を伝えることができる。


★論破は相手をねじ伏せてだまらせるだけであり、納得させる行為ではない。争点を整理し、その解決案を提示することで、相手の納得を得るべきである。

★結果は別にして、人と争うことは比較的容易である。難しいのは、争わずして問題解決することである。そのためには、誰よりも自分が冷静であらねばならない。

★争いが生じた場合でも、冷静に徹すること。争うなかで妥結点を見出せたなら、争いの勝ち負けではなく、解決を提案すべきだからである。


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