参、謀攻篇 4 勝算がなければ戦わない

 故に兵を用いるの法、十なれば、則ちこれを囲み、五なれば、則ちこれを攻め、倍すれば、則ちこれを分かち、敵すれば、則ちよくこれと戦い、少なければ、則ちよくこれを逃れ、しからざれば、則ちよくこれを避く。故に小敵の堅は、大敵の檎なり。


 戦争のしかたは、次の原則にもとづく。

十倍の兵力なら、包囲する。

五倍の兵力なら、攻撃する。

二倍の兵力なら、分断する。

互角の兵力なら、勇戦する。

劣勢の兵力なら、退却する。

勝算がなければ、戦わない。

 味方の兵力を無視して、強大な敵にしゃにむに戦いを挑めば、あたら敵の餌食になるばかりだ。


【仕事・職場で】

 有利なら争い、不利なら引き際を見極め、勝てないと判断したら争わない。

 ここで大切になるのが、自分と相手の力量を冷静に見極めているかどうかである。

 仕事なら、目的と制約を見極めることで、完遂できる仕事ならより良い仕上がりを目指し、完遂できないと判断すれば「何が課題となって完遂できないのか」を明確にしたうえで上司と相談すべきである。完遂できない仕事なのに、とにかく取り掛かってしまうことは、愚策である。

 人と争う場合においては、目的と彼我に力量の見極めが肝心である。勝ち目のない争いなら起こすことは避け、代替案を示すべきである。自分が有利だとしても、相手を論破するのではなく、目標達成を目指すことが大切である。

 これらを考えずに、一時の感情で争い始めてしまっては、勝てるものも勝てなくなる。冷静にことに当たりたい。


★冷静に目的・制約・力量を判断し、勝ち目がないと思ったら代替案・折衷案を提案することも考える。

★仕事はいきなり取り掛からず、まず目的と制約(時間・場所・道具など)をよく分析し、完遂できないと判断したときは、完遂できない原因とともに上司に相談をする。自分では思いつかない解決案を上司から提案してもらえる場合がある。


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